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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ようこそT-roomへ - 2021-08-18_国民の平均寿命は81.3歳、過去最長

  • 18 August, 2021

 中華民国内政部はさきごろ、台湾の人たちの最新の平均寿命を発表しました。この統計によりますと、台湾の人々全体の2020年の平均寿命は81.3歳、男性は78.1歳、女性は84.7歳で、いずれも過去最高を記録しました。また世界全体との比較では、男性は7.9歳、女性は9.7歳上回りました。ちなみに世界でも有数の長寿国である日本の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳ということですので、日本は概ね台湾よりも男女共に平均寿命が3歳ほど長いということになります。

 台湾の平均寿命について、過去10年との比較をみていきましょう。10年前、2010年の平均寿命は、全体が79.2歳、男性が76.1歳、女性が82.6歳でした。ですので、概ねこの10年で、2歳伸びたといえます。

 内政部はこの結果について、医療水準の向上、食品安全の重視、生活の質の向上、運動をしようというムードの高まりにより、近年、台湾の人々の平均寿命は長くなっていると指摘しました。

 自治体別ではどうでしょう。直轄市と呼ばれる6つの自治体の統計を比較した場合、台北市が84.1歳で最高でした。台北市は、男性、女性の平均寿命も最高でした。2位以降は北部の新北市、桃園市、そして中部の台中市、さらに南部の台南市、高雄市と続き、北部が高く南部が低いという結果となりました。

 またこれ以外の県市、自治体で、最も平均寿命が高かったのは北部の新竹市が81.7歳でした。一方、最も低かったのは東部の台東県で76.5歳でした。東部の県市の平均寿命は、西部各県市の平均寿命よりも低く、台東県、そして花蓮県と、台湾全体の平均寿命の差はそれぞれ台東県が4.8歳、花蓮県が3.9歳となっています。ただ、台東県、花蓮県と、台湾全体の平均寿命との差は、10年前の2010年に比べるとそれぞれ0.13歳、0.37歳縮まっています。

 また、各県市の平均寿命について2020年と2019年を比較したところ、離島の澎湖県のみ0.11歳下がった以外、他の県市はいずれも平均寿命は伸び、中でも北東部の宜蘭県と、中部の内陸県、南投県は0.43歳アップしました。

(ジングル)

 台湾の平均寿命が過去最高となったこと自体は良い事だといえます。ただ、細かく見ていきますと、色々と課題もあります。一つは、「不健康寿命」も伸びているという問題です。平均寿命の統計発表を受け、この度、台湾メディアは、衛生福利部の統計をもとに、いわゆる「不健康寿命」が2019年、過去8年で最長の8.47年になったことを伝えました。

 この「不健康寿命」とはなんでしょうか。これは寿命から、健康に過ごした期間、「健康寿命」を差し引いた期間を指します。具体的には、疾病や事故により身体のいずれかの部位の機能を失った状態、寝たきり、慢性病などの患者を指します。

 台湾では2013年、不健康寿命が8.24年となり、以降5、6年に渡って、8.3年から8.4年前後となっていましたが、2019年、8.47年に伸びてしまいました。そして、2020年については、新型コロナウイルスの影響から、さらに伸びるのではないかとみられています。

 台湾では平均寿命は年々、伸びており、健康寿命と不健康寿命も伸びています。統計の数字だけみますと、健康寿命と不健康寿命の伸びでは、健康寿命の伸びの方が大きくなってはいますが、不健康寿命も依然伸びているというわけです。寿命は伸びたけれど、そのまま健康寿命が伸びるというほど単純ではないんですね。

 一人の人生として考えた場合、不健康な状態で長生きしても逆につらいともいえます。また、国や社会の影響について考えますと、「不健康寿命」が長くなればなるほど、医療や介護にかかるコスト増加という問題に直結します。

 平均寿命、そして不健康寿命も伸びていることについて、中華民国プライマリーケア協会の林応然(りん・こうぜん)理事長は、「まずは医療の進歩によるものだといえる。かつては、命を落とすかもしれなかった疾病が、現在は助かるようになり、寿命が伸びた」と指摘しました。林・理事長はさらに「台湾の保険制度は素晴らしい。人々はたくさんの費用を負担せずに、命を長らえることができる」と述べました。

 一方で、国立台湾大学公共衛生学部の林先和(りん・せんわ)教授は、「寿命は伸び続けている。しかし、伸びた部分については、不健康年齢が占める割合が大きいのではないか」との考えを示し、その上で「寿命を伸ばすことと共に、どのようにして健康を促進するのか、そして疾病を予防するのかについてしっかり考えていかないといけない」と述べました。

 また、衛生福利部の陳時中・部長は、「不健康寿命」については、老化の緩和、防止など様々な研究が行われ、そのサービスも実践されてはいるが、こうした行動はすぐに効果が出るものではなく、一歩一歩進めていかなければならないと指摘しました。陳・部長はさらに、台湾の人々にむけ、飲食に気を配り、運動の習慣をつけること、これこそが「不健康寿命」を短くする基本だと強調しました。

 平均寿命が伸びることの影響については、異なる分野の専門家からの指摘があります。こちらも紹介しましょう。国立台湾大学社会学部の薛承泰(せつ・しょうたい)教授は、少子高齢化は珍しいことではなく、西洋の国々では台湾よりも早くこうした現象が起きているが、台湾の特徴は、少子化も高齢化もいずれもそのペースがさらに早い点だとして、それゆえ、政策による対応を困難にさせていると指摘しました。

 そして、台湾の経済は少なくとも全世界の上位20%に入っており、少子化、高齢化のペースを落とすことができれば、影響はそこまで大きくないが、問題は人口の構成の変化のスピードが速すぎることだと述べました。

 薛・教授は、高齢者の人口比の増加により、年金改革など様々な問題が発生しているが、これは誰が悪いわけでもなく、当初、年金制度を制定した際には、人類がこれほど長生きをするようになるとは、誰も予測していなかったのだと述べました。さらに少子化問題は、介護の人的リソースの不足、若い労働人口の減少という深刻な課題を際立たせていると指摘しました。

 薛・教授はそして、現在政府は、長期介護や育児子育てに対して、補助を出すことによって解決している。お金を出すことは必要だが、条件として十分ではないと述べ、国家のリーダーは、この問題に対する明確な解決方法を打ち出すべきだと希望しました。

 平均寿命の伸び、プラス面だけでなく、様々な課題も見えてきましたね。ただ、日本もまた、同様の課題に直面しています。台湾と日本、双方の交流により、課題解決のヒントをみつけていって欲しいですね。

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