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Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ようこそT-roomへ - 2021-06-16

  • 16 June, 2021

 6月も中旬となりました。東京オリンピックの開幕まで残り1ヶ月あまりですね。1年延期となった東京オリンピック、57年ぶりとなる日本開催に心躍らせている方もいらっしゃるかとは思いますが、一方で、新型コロナウイルスの感染状況にまだ収束が見えない中での開催について、疑問をお持ちの方も少なくないようですね。

 オリンピックと中華民国台湾といいますと、リスナーの皆様の中には、中華民国台湾の野球代表チームが、6月22日からメキシコで開催される東京オリンピック世界最終予選を辞退したニュースをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。そして、このニュースをお聞きになり、果たして、台湾の選手たちは東京オリンピックに出場するのだろうか、と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。

 野球は、台湾において、バスケットボールと並ぶ二大人気スポーツです。そして、オリンピックにおける野球競技ということでいいますと、公開競技だったロサンゼルス大会で銅メダルを獲得したほか、1992年のバルセロナ大会では銀メダルを獲得しました。近年はメダル獲得こそなりませんが、オリンピックにおいて、最も多くの人々の関心を集めるのが野球競技なんです。

 そして、北京大会以来の野球競技開催となる東京大会へ向け、台湾球界は、出場への強い意気込みを持っていました。

 長い間、プロ・アマが良好な関係とはいえず、主導権争いを繰り広げてきた台湾球界でしたが、台湾プロ野球(CPBL)のチーム、中信兄弟の実質的なオーナーが、アマ側の組織、中華民国野球協会(CTBA)の理事長に就任するなど雪解けムードもみられ、東京オリンピックの予選にあたるプレミア12と、世界最終予選は、CPBLが主導的な立場で、選手選考、合宿実施を行うこととなりました。

 2019年の秋に行われたプレミア12は、世界ランキング上位12カ国が野球の世界一をかけて戦う大会であると同時に、東京オリンピックの予選も兼ねており、アジア・オセアニアの出場国、中華民国台湾、韓国、オーストラリアにとっては、そのうちの1位チームがオリンピック出場権を獲得するという大会でした。台湾はライバルの韓国に勝利するなど健闘はみせたものの、メキシコとアメリカに敗れ全体の5位に終わり、韓国が準優勝したことから、出場権獲得を逃しました。

 そして、6チームが、オリンピックの出場権残り1枠をかけて争う世界最終予選は当初、昨年4月、台湾で開催される予定でした。地元開催、満員のファンの後押しで出場権を獲得しようと考えていたわけです。

 出場チームは、アジアから中華民国台湾と中国大陸、オセアニアからオーストラリア、ヨーロッパ・アフリカからオランダ、そしてアメリカ大陸予選の2位チーム、3位チームの、合計6チームの予定でした。

 世界最終予選はその後、新型コロナウイルスの感染拡大により、6月に延期され、東京オリンピックの1年延期に伴い、今年の6月中旬へと再度延期されていました。

 5月初旬、中国大陸が、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を理由に出場を辞退しましたが、台湾プロ野球CPBLは、世界最終予選の開催と共に、最強の代表チーム結成に向け準備していました。

 しかし、まさかの事態が発生したのです。それは、台湾における市中感染の急拡大です。昨年、8ヶ月あまりに渡って市中感染を抑え込んできた台湾でしたが、感染力の強い変異株の前に、感染拡大を許してしまいます。5月15日、北部の台北市と新北市の感染警戒レベルが3級に引き上げられたあと、居留証をもつ人以外の外国人の入境も停止となりました。さらには19日、開催地の台中市を含む台湾全域が3級に引き上げられました。国内で感染が拡大する中、大会開催により、外国から大量の人たちを入境させるわけにはいきません。こうした中、CPBLは5月20日、世界最終予選の開催返上という苦渋の決断をし、世界最終予選はメキシコで行われることとなりました。

 5月初旬まで市中感染はほとんど見られていなかったため、CPBL、そして代表の主体となる台湾プロ野球の選手たちも、海外での試合出場を全く想定していませんでした。CPBLでは5月初旬に、ワクチン接種の機会を設けていましたが、コーチ陣、スタッフは皆接種したものの、選手たちは副反応を恐れ、接種していませんでした。

 そして5月25日、CPBLは、5球団の代表と話し合いを行った結果、選手の健康面への不安を理由に、世界最終予選への出場辞退を明らかにしたんです。

 これでオリンピックへの道が閉ざされたかと思われましたが、ここで、アマ側のCTBAが、国内アマ選手を主体とし、海外から現在は台湾に戻ってきている所属チームのない選手や、現在アメリカでプレーするマイナーリーガーを加えたチームで世界最終予選に出場するプランを打ち出しました。大物選手の辞退はあったものの、大多数の候補選手は出場に前向きだと伝えられました。

 しかし、このプランもまた、新型コロナウイルスの前に阻まれることとなりました。まず、国内合宿の予定地と考えていた自治体から次々に断られてしまったのです。さらに、開催地のメキシコの防疫対策は、出場選手の10%、つまり3選手がコロナに感染した場合そのチームを棄権とするというもので、一人でも感染者が出たら棄権とすべきと考える台湾側の認識とは大きな開きがありました。こうした事情もあり、6月2日、CTBAも、世界最終予選への出場辞退を発表、台湾代表の出場の可能性は完全になくなったのです。

 このように、最も注目される野球競技が最終予選を辞退しました。この理由が、国内外における新型コロナウイルスの感染拡大であることは間違いありません。ただ、他の競技も同様に辞退するかといいますと、そのようなことはありません。現時点においては、海外の予選大会に向かったり、国内のトレーニングセンターでオリンピックに向けて準備しているんです。

 6月上旬の時点で、中華民国台湾の選手団は、すでに14競技で39の出場権を獲得しています。内訳は卓球6、射撃6、アーチェリー5、体操5、ボクシング4、テコンドー4、競泳2、そして陸上、自転車、重量挙げ、馬術、ボート、カヌー・スラローム、空手がそれぞれ1となっています。

 こうした競技の選手たち、出国に際してはワクチン接種ができるとはいえ、台湾では、まだ1本目の接種のみというアスリートが大半です。当然、健康面についての憂慮はあると思いますが、どちらかというとメジャーとはいえない競技の選手も多く、オリンピックの位置づけが極めて高く、出場への意欲が極めて高い、という面もあるといえそうです。

 開催自体に様々な見方のある東京オリンピックですが、開催されたあかつきには、台湾のアスリートたちを応援していただきたいと思います。

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