Rti 台湾国際放送Rti 台湾国際放送ようこそT-roomへ - 2021-06-09_アップル社とgoogle社による人流データから台湾の現状を見る

  • 09 June, 2021
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台湾の伝統市場(写真:CNA)

 ご存知の通り、台湾では5月の中旬から、新型コロナウイルスの市中感染が急激に拡大しています。こうした中、北部の台北市と新北市の防疫警戒レベルが5月15日、3級に引き上げられ、19日には、台湾全域が6月14日までの期間、3級となりました。中央感染症指揮センターでは連日、不必要な外出を避けるよう呼びかけており、結果、人々の生活スタイルにも変化が出ているんです。

 一体どのような変化が起きているのでしょうか。先ごろ明らかにされた、アップル社及びgoogle社による、人流、人の流れに関するデータをご紹介いたしましょう。これらはいずれも、昨年2020年1月を基準点として、世界の人の流れの変化の状況を観察したもので、各国が、新型コロナウイルスの防疫対策を実施したあとの、人流、人の流れを分析するデータとなっています。

 まずは、アップル社のデータです。アップル社の「人流トレンドマップ」によりますと、台湾ではこの5月末、徒歩、車、公共交通機関のいずれも、基準点となった昨年2020年の1月13日以来最低となりました。中でも、公共交通機関はマイナス80%の大幅減となりました。また、車はマイナス44%、徒歩もマイナス37%となっています。

 ちなみに日本のデータをご紹介しますと、昨年1月と今年5月の比較では、徒歩と公共交通機関は、それぞれ徒歩がマイナス17%、公共交通機関がマイナス18%となりましたが、車はプラス8%となりました。

 続いては、google社が明らかにした人の流れのデータです。このデータによりますと、台湾における昨年1月と今年5月の比較は、「公共交通機関」はマイナス57%、「小売店及びレクリエーション施設」はマイナス48%、そして「公園」はマイナス46%となりました。その他、「職場」はマイナス26%、さらに「雑貨店及びドラッグストア」もマイナス5%となりました。一方で、「住宅エリア」はプラス19%となっています。

 これらのデータからは、台湾の人々が外出を控えていること、そしてリモートワークなど自宅で仕事をしている人が増えていることが見えてきます。

 ただ、さらに細かくデータをみますと、北部の台北市と新北市の防疫警戒レベルが3級に引き上げられた5月15日、「雑貨店及びドラッグストア」の人の流れが19%増加し、今年最高となっていたことがわかりました。このデータからは、警戒レベル3級引き上げを受け、買い物をした人が急増したことが伺えます。

 データ全体をみますと、台湾の多くの人々がステイホームを心がけ、「自主的なロックダウン」をしているようにみえます。ただ、5月15日のデータから垣間見えたように、全ての場所で、人の流れが減ったわけではないんです。

 警戒レベルが3級レベルに引き上げられたあと、2回目の週末となった5月下旬、百貨店や繁華街では、人手はまばらでした。しかし、各地にある伝統的なマーケットや、スーパーマーケットなどは、たくさんの人で賑わっていたんです。巣ごもりをするにしても、食事はしなければいけません。最近は、フードデリバリーサービスが食材の配送も行っているとはいえ、扱う商品は限られており、買いたいものが全て一度に買えるわけではありません。そして、そもそも、注文が殺到し、オーダーできない事もしばしばあります。こうした中、伝統的なマーケットや、スーパーマーケットには人が集まりやすいんです。

 警戒レベルが3級に引き上げられてから2回めの週末、5月30日の日曜日、台北市、松山空港に近い伝統的なマーケット、濱江市場にもたくさんの人が集まっていました。伝統的な市場は、様々なお店が所狭しと並んでいる上、室内ではなく屋外であるため、入場人数の管理のほか、「実聯制」と呼ばれる取り組みを徹底することが難しくなっています。「実聯制」は、実際のじつ、みみへんの聯合の聯、制度のせいと書き、感染者や濃厚接触者の立ち寄り先を把握するため、入場者、利用者が、入場の際に、名前と電話番号などの連絡手段を残す制度です。

 台北市をドーナツのように取り囲む新北市では、陽性が確認された人たちの足取りを公表していますが、多くの人が、こうした伝統的なマーケットを訪れていたことがわかりました。また、韓国、タイなどでは、こうした伝統的なマーケットで、集団感染が発生しました。台湾の人たちも、こうしたマーケットで、人が密になることが感染リスクであることを十分に理解しており、末端行政単位である里(り)、里山の里と書く里の首長である里長も、「買い物を終えたら、早く家に帰ってください」とマイクを通じて呼びかけていました。

 この日、濱江市場を訪れていた人たちはどのように考えていたのでしょうか。「平日は仕事に出ないといけないから、祝日にまとめて買いに来るしかなくて。こればかりはどうしようもない」と語る人や、「心配かと言わればもちろん心配です。なので、防護を強化してきました」とゴーグルを指差す人もいました。たしかに、平日出勤だとしたら、人が多い週末に来るしかありませんよね。

 伝統的なマーケットに人が集まるのは、北部に限った話ではありません。その対策の内容はそれぞれ異なりますが、各自治体では人流の分散の為の対策を取り始めています。

 中部の台中市や南部の高雄市など7つの自治体では、台湾の人の場合は身分証の番号、外国人は居留証の番号の末尾の数字によって、入場できる曜日を決め、人数を制限する取り組みをしています。例えば、月曜の午前及び、水、金、日は末尾が奇数の人、月曜の午後及び火、木、土は末尾が偶数の人がマーケットを利用できることにする、という形です。また、できるだけ買い物は一週間に一度とするよう呼びかけています。

 また、こうした取り組みこそしていないものの、台北市では6月2日から、市のホームページに市内の主要なマーケット9つのライブカメラのリンクを貼り付け、出かける前に混雑状況をチェックできるようにしました。

 このほか、中央感染症指揮センターは、出かける前にはgoogleで、伝統的なマーケットの名前を検索すれば、リアルタイムの混雑状況が示されるとして、利用を広く呼びかけています。

 感染力の強い変異株、ワクチンが行き渡るまでは、とにかく人の動きを減らし、接触を減らすことが、感染拡大を抑制する最も重要な取り組みとなるようです。「自主的ロックダウン」に加え、一人ひとりが、買い物の際も最大限注意を払うことが必要といえそうですね。

 

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